システム屋の日記

システム屋サラリーマンの日記。それ以上でもそれ以下でもない

【システム導入】ユーザーとシステム屋の知識の差を埋めよう

IT化を目指しているある企業(弊社)の奮闘記をシステム屋として日記にまとめていく。ちょっと需要があるんじゃないかと思う。と言うのも、システム屋として、開発会社に在籍していた時とエンドユーザーの社内SEとしての視点で大きなギャップの存在に気づいたから。

システム屋目線で見たときのIT導入による業務効率化の提案をするとき、お客様目線を知る機会になると思う。反対にシステム導入を考えている弊社の様な中小企業の考え方、手順を知ることでスムーズなIT化の道筋になると思う。ここ1年くらいの経験で日本の企業で IT化が進まない理由が分かった様な気がする。

もちろん、ネタバレしない程度にオブラートに包んで記事にする。全何回になるか想像もつかないけど、出来るだけ、システム屋にも、導入企業にも、役に立つようにまとめる。

システムに求めるもの

システム屋とエンドユーザーの大きなギャップは、システムに対するイメージが、大きく乖離していること。システム屋の常識は、エンドユーザーには伝わらない。コンピュータの知識がかけ離れ過ぎている。

システム屋は基本的に「何でも出来る(時間と金さえ掛ければ)」と考えている。はっきり言って「出来ない」と言うのはシステム屋のプライドが許さない。出来ないことは、代替案を提示して出来るように話をする。ただ、条件がある。それはエンドユーザーが求める機能であること。求めない機能は何も作れない。

そして、エンドユーザー側の多くは、システムに対する大きすぎる期待しかない。システムを導入する目的がない。目的はあるのだが、具体的ではない。「業務が効率良くなる」と言うのは期待であって目的ではない。目的が具体的でないから、システムに求めるものが具体的にならない。

システム屋は基本的に受け身

良い方が良いかは分からないがシステム屋は基本的に受け身の仕事だ。「こんな機能が欲しい」と言うユーザーの期待に応えるためにプログラミングをしてシステムを構築する。開発工数と既存のサービスの価格を比較して提案も出来る。でも、何百万円、下手したら4桁万円のシステムをシステム屋から提案することは難しい。もちろん、実績のあるシステムを販売する様な営業マンは、使えなくても提案するかも知れない。僕が言っているのは、一般のシステム屋の話だ。

ユーザーの「こんなことしたい」を具体化してプログラムに落とすのがシステム屋としての醍醐味。一番、キモになるところ。システム屋なら分かってくれると思うが「何がしたい、どういう風にしたい(要件定義)」がなければシステムは構築できない。ユーザーのやりたいことを聞き出し、具体化が出来ないと、システム設計、プログラミングと後の工程が間違った方向に進む。

細かい設定とかは後回しでも、大まかな流れがないとプログラミングは行えない。

ユーザーは具体化出来ない

かと言ってエンドユーザーはシステムで何が出来るかが分かってないので、何をシステムに求めるのか具体的にはイメージできない。理想しかない。その理想もフワッとしていて何も具体化できていない。

例えば「グループウェアを導入したい」なんてシステム屋に話をしても、システム屋は「グループウェアですか? いくつかピックアップしますよ。で、グループウェアで何をしたいんですか?

ーーー この時点で大きなギャップが生まれている。システム屋はグループウェアに求める機能が分からないと数あるグループウェアからユーザーが求めるシステムを提案できない。

「情報を共有したいんだよ。スケジュールとか」

ーーー ユーザーはグループウェアの機能を知らないから、具体的に必要な機能が分からない。システム屋が選んで提案してよ。と思っている。

無理な話だ。システム屋はムリだと思ってくれると思う。ユーザーは何故、ムリなのかがわからないと思う。システム以外の例を挙げてみる。

【前提】システムは道具

システムに対するイメージを統一したいと思う。これは僕がコンサルしていたときにユーザーに話をしていたことだが、システム屋、ユーザーのどちらも理解できる例え話だと思う。

システムは道具

ちょっと説明が必要だと思う。システムも道具も同じような性質がある。

  • やりたいことで使うものが変わる
  • 万能じゃない

例えば、クギを打ちたいのにドライバーを用意しても使えない。ネジを閉めたいならドライバーが必要。さらに大量にネジを閉めるのであれば、電動ドライバーを用意した方がラクになる。

そしてシステム屋の仕事は道具を用意することだ。「ネジを閉めたい」と言う要求に対して、ドライバーを用意するのか、電動ドライバーの方が良いのかを考え、提案、用意する。それ以上でも、それ以下でもない。ユーザーに何がしたいかの要求がなければ、道具の用意ができない。

システムは万能だと勘違いされるが、システムは万能じゃない。何でも出来るシステムなんてこの世には存在しない。ただ、システムが万能だと勘違いされる理由はシステム屋の「何でも出来る(時間と金があれば)」が原因だと思う。お互い様だ。

システム屋とユーザーの知識の差

システム屋はシステムの知識がある。しかしユーザーはシステムの知識がほとんどない。その知識の差があると、いつまで経っても良いシステムは構築できない。はっきり言って、万に一の確率でシステム屋とユーザーのフィーリングが一致したときは良いシステムの導入ができるくらいの確率だ。ユーザーは具体的に何がしたいかを伝えられるようにならないといけないし、システム屋は、それを聞き出さないといけない。

実際にシステム導入を行う場合、知識の差が、ユーザーが求めるシステムとシステム屋が用意するシステムのギャップになることが多い。と言うか、原因はそこにある。ユーザーはシステム屋の方がシステムを知っているんだから、作れるだろうと思っているが「システムは道具だ」何のためにシステムを導入するのか目的を具体的に伝える必要がある。

本来、システムの開発や導入支援をシステム屋にお願いする場合は『要件定義書』を提出する必要がある。システム屋の常識と言うか、システム屋の文化、日本のシステム屋の親分である『IPA情報処理推進機構)』もシステム開発を行うときは『要件定義』をまとめましょうと謳っている。

しかし、ユーザーは、要件定義が必要だと言う知識もないし、要件定義を作る知識もない。この知識の差がシステム導入時の失敗の原因だと思う。システム屋からするとシステムを発注する前にユーザー側で、要件定義を作ってもらう必要があると思っているのに、ユーザーはその存在自体知らない。なかなか、難しい問題だと思う。

言い方が悪いが、ユーザーの知識の少なさがシステムの導入のネックになっていると思う。システム屋と話せる人間がいたとしても、社内で必要性が分からないから、話が進まないんだよな。システムを導入する前にお金をかけて、コンサルタントを入れて教育をしてもらった方が最終的に良いシステムになるんだけどな。

コンサルタントを入れないのであれば、全員でこんな本を読んで欲しい。 

システムを「外注」するときに読む本

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